2008年5月 3日 (土)

ノリントンのブルックナー

最近聴いたディスクから。

Dscn0153

ブルックナー:交響曲第3番ニ短調(1873年第1稿)
シュトゥットガルト放送響
サー・ロジャー・ノリントン(指揮)
録音:2007年5月22日(デジタル)
録音場所:シュトゥットガルト・リーダーハレ、ベートーヴェンザール(ライヴ)

ブルックナーは同じ作品を何度も改訂しているため、原典と最終稿が全然違うなんていうことも珍しくない。第3番と第4番の第1稿は特に顕著。

第3番に関しては第1稿の楽譜を用いて演奏する指揮者が近年急激に増えておりノヴァーク版を凌いでいるようだ(録音での話し。コンサートではまだノヴァークが多いのかな?)。第3番の第1稿というと真っ先に思いつくのがエリアフ・インバル&フランクフルト放送響の初録音。これを初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。前衛的で過激なブルックナー。

先日購入したのがノリントン&シュトゥットガルト放送響の新譜。シュトゥットガルトのピリオド奏法のだいぶ板についてきたみたいで、不自然なところが全く無い。第1楽章と第4楽章のテンポ設定が非常に速いのだが、オケはしっかりとついていっている。第1楽章については速すぎるみたいでもう少しゆっくりしてもいいのではないかと思う。第2楽章のしっとりとした感触はなかなか心地よい(ワーグナーが嫌いなのでこの曲の何処がワーグナーなのかがいまだに分からない…)。第4楽章はなかなか激しい演奏で決めて欲しいと思うところがばっちり決まっており非常に力強い。一発ライヴの収録だが傷が無く、内容的にもよくまとまった演奏だと思う(第1稿特有の散漫さを上手く解消できたのではないだろうか)。

ノリントンの最近の録音はインスタントラーメンみたいなところがあって(1枚のCDを創るのにもう少し手をかけて欲しいと感じる。これは指揮者だけの問題では無いのだろうけど。ジャケットの写真もワンパターンだし…)、好きではなかったのだが、このディスクはそういう印象を抱かずに聴くことが出来る。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年3月28日 (金)

ヒラリー・ハーンのシェーンベルク/シベリウス

Dsc_0138

・シベリウス:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 op.47
・シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲 op.36
 ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
 スウェーデン放送交響楽団
 エサ=ペッカ・サロネン(指揮)
 録音:2007年5月(シベリウス)、9月(シェーンベルク)、ストックホルム

昨日からこのディスクを何度も繰り返し聴いている。通勤中や昼休みも含めて。
シェーンベルクのヴァイオリン協奏曲は初めて聴くのだが非常に難解で何度聴いても理解が出来ない。記憶に残る、また聴きたいと思う旋律がなかなか見つからない。だけど、この演奏を繰り返し聴きたくなる。それはこの演奏が非常に優れているためなのだと思う。ヒラリー・ハーンのヴァイオリンは非常に緻密で丁寧。それを支えるオーケストラも非常に充実している。

シベリウスは最初聴いた時はあまり印象に残らなかった。しかし、シェーンベルクの協奏曲に続けてシベリウスを聴いて(ディスクではシェーンベルク→シベリウスの順序で収録されている)みたら、印象が変わってしまった。個人的には非常に優れたシベリウスだと思う。妙な脚色をしたりすることなく正攻法で丁寧に演奏されており、感情過多になることがない。これはシベリウスの作品を演奏する場合非常に重要なことだと思う。意外に線が太く、重心がしっかりとしたシベリウスだ。オーケストラの伴奏も見事。スウェーデン放送響ってこんなに重厚な音を出すオーケストラだったかな?と思うほど。

ネット上でこのディスクの評価について調べてみると実に様々。シェーンベルクについては好意的な批評が多いがシベリウスは素晴らしいと言う意見といまいちだという意見が半々くらい。期待しすぎたためということもあるのかもしれない。私はハーンらしさが非常によく表れたよい演奏だと思うのだが…。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年12月25日 (火)

五嶋みどりさんのバッハ

午後から新宿をぶらぶら。人ごみの中に長い時間居たためか気分が少し悪くなる。3連休の最後でかつクリスマス・イヴということもあってか、何処に行っても人ばかり・・・。

五嶋みどりさんの新譜が発売された。バッハの無伴奏が入っていたので視聴をして即購入。全曲ではなく録音されているのはソナタの第2番のみ。カップリング曲はあまり好きではないバルトークのソナタ。

バッハのみ何度も繰り返して聞いているが、これはいい演奏だと思う。技術的なことはよく分からないが完成度は非常に高いのではないかと思う。特に陰影に富む緩徐楽章が素晴らしい。Andanteのあの独特の雰囲気は他の演奏をいろいろと聴いてみたがこの演奏が最も良いように感じられた。楽章を聞き終えるごとに唾を飲み込むようなそんな緊張感が終始持続される。

バルトークは苦手なのでやっぱりだめ。なぜこのような形で発売になったのかは分からないが、バッハで統一して欲しかった(わがままだけど)と思う。

バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番/バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第1番 バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番/バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第1番

アーティスト:五嶋みどり
販売元:ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
発売日:2007/12/19
Amazon.co.jpで詳細を確認する

**
明日から仕事だが出勤はあと4日しかない。まだ年賀状を書くことが出来ていないのだが、それ以前に無地のインクジェット対応用紙を入手するのに一苦労。それでも何とか置いてある店を見つけることが出来て予定枚数を確保することが出来た。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月29日 (月)

シュタットフェルトのシューベルト

Stadtfeld_schubert

■シューベルト/ピアノ・ソナタ第21番、第18番

(ピアノ)マルティン・シュタットフェルト

シューベルトが書いたピアノ・ソナタは名曲ぞろいだと思う。演奏時間が長く聞いていて退屈するという印象を持つ人も少なくないが、私はとても好きだ。特に後期の4曲(18番から21番)はどれも美しさと死への思いが隣り合わせになった深みのある名曲ばかりだと思う。

ゴールドベルク変奏曲などで話題になったマルティン・シュタットフェルトがシューベルトを録音した。作品は第21番と第18番。奇抜な演奏になるかと思っていたら、正統派の演奏で繊細かつ大胆にシューベルトの世界を表現していて素晴らしい演奏に仕上がっている。特に第18番の出来が素晴らしい。第1楽章の展開部など、非常によく練られた表現だと感じる。この演奏には、美しさと力強さと死に対する思いがしっかりと混在している。久しぶりに素晴らしい演奏に出会ったという印象。

仕上がりとしては18番の方が上ではないかと思う。CDでも18番の方を後に持ってきているところを見ると、想像ではあるが本人もこの作品に対して何か特別な思いを抱いているのかもしれない。

残念なのはどちらの作品も第1楽章のリピートが削除されていることだ。録音時間の関係でこういう選択をしたのか演奏者の考えなのかは分からないが、出来ることならリピートをして欲しかった。私にはこれらのリピートが単なる繰り返しには思えないからだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年10月16日 (火)

ハイティンクのマーラー

■マーラー/交響曲第4番
指揮:ベルナルト・ハイティンク
管弦楽:ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
ソプラノ:クリスティーネ・シェーファー
(録音:2006年11月7日 コンセルトヘボウ)

前半はあっさり目に淡々と進むのだが、自然体で演奏をしているため恣意的なところがないためマーラーの音楽が苦手な人でも受け入れやすいのではないだろうか。第3楽章が最も素晴らしく、美しい中にも死に対する恐怖が垣間見える絶妙な表現が聞き物。第4楽章も秀逸。録音がまた素晴らしい。コンセルトヘボウの残響は聴衆が入った状態の方が自然な感じになるのだということがこの演奏を聴くとよくわかる。聴衆のノイズは楽章の頭に少し存在を意識する程度で傷はほとんど無い。最近ではアバド/ベルリン・フィルやシャイー/ロイヤルコンセルトヘボウの組み合わせでこの作品を聞いているが、この演奏が最も馴染みやすく、繰り返し聴きたくなる。もう一度、このコンビでマーラーの全集を取り上げて欲しいなんていう無理な願望を抱きたくなってしまうのは私だけだろうか?。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年2月25日 (日)

フレイレのブラームス

■ブラームス/ピアノ協奏曲第1番、第2番
ピアノ:ネルソン・フレイレ
指揮:リッカルド・シャイー
管弦楽:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

このブラームスはいい!。

自然体なのだけど、懐が深くスケールの大きい演奏を繰り広げていると感じる。なにより、ブラームスの音楽が持つ独特の雰囲気が実によく醸し出されているのだ。安心して聞いていることが出来るし、聞いていてジワーッとこれらの作品が放つもの(よく分からない表現ですが・・・^^)が伝わってくる。このジワーッが得られる演奏というのは本当に決して多くない。

非常に高いテクニックを要求する音楽なのに、テクニックのことを聞き手に意識させること無く、音楽が持つ本来の姿をしっかり体感させてくれる稀な演奏だと思う。昨年ツィメルマンがラトルと共演して第1番を録音したが、残念ながらそのときは何も感じるものが無かった。テクニックは素晴らしかったが何を表現したいのかがさっぱり分からなくて困惑した覚えがある。

ブラームスのピアノ協奏曲はこれまではギレリス&ヨッフム(ベルリンフィル)とポリーニ&アバド(ベルリンフィル)のものばかり聴いて来たが、これからは頻繁に聞くことになるセットになると思う。

ゲヴァントハウスの演奏はマズアの頃と比べるとずいぶん変わったと思う。積極的で自発性が出てきた。DECCAの録音スタッフの影響もあるのかもしれないが、本来の音色を維持しつつもかなり開放的になってきたと思う。シャイーがゲヴァントハウスの音楽監督になると聞いたとき、この鈍重なオケをどれだけドライブできるかと心配したのだが、そんな心配は無用だった。今後このコンビでどんな作品が出てくるのかが非常に楽しみだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年2月 4日 (日)

リッカルド・シャイーのシューマン

■シューマン/交響曲第2番&第4番(マーラー編曲版)
指揮:リッカルド・シャイー
管弦楽:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

(英DECCA インターナショナルリリース) 

リッカルド・シャイーはロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団とシューマンの全集を完成させており、これが2度目の録音になる(はず)。前回は通常のスコアを用いて演奏されていたと思うが、今回はグスタフ・マーラーが手を加えた編曲版を採用している。最近は原典版や当時の演奏体系を踏襲した演奏が好まれる傾向が強く、マーラー編曲版を用いて演奏されるのは非常に珍しい。

まず、演奏についてだが、素晴らしい仕上がりと言っていいと思う。切れこみが鋭く高い集中力を終始維持しているという感じ。ゴツゴツとした響きはゲヴァントハウス特有のものだと思うが、決して鈍重な響きになることはなく反応は機敏で非常に力強い。シャイーの指揮も実に活き活きとしていてコンセルトヘボウ時代よりもストレートに音に反映しているように思う。シューマン特有のロマンティシズムが見事に再現されている。 

問題のマーラー編曲についてだが、聞いていただければ分かると思うが、決して原曲のイメージを変えてしまうような大きな改変はなされていないことがわかる。第2番の第1楽章を聞き始めたときは「どこが違うの?」と思ってしまったほどだ。いつもと違うと感じる部分についても、指揮者の指示で変わってしまったものなのかマーラーの編曲によるものなのか正直分からないところが多い。全体的にはマーラーの交響曲のように分厚い音響を作るのではなく、むしろ楽器間のバランスを意識して改変されたという印象(ここが想像と最も違っていた点。マーラーの交響曲のようになっていると思っていた。。。)。

通常のスコアを採用した方が良かったのではないかと感じる。編曲版を採用した目的がいまひとつ見えてこないのだ。シャイーのシューマンの作品に対するアプローチが間違っているとか変だと言っているのではない。演奏は本当に素晴らしいし、聞き手を感動させるだけのものを持っていると感じる。だからこそ、シューマンが思い描いた姿(注)で表現して欲しかったと思う。シューマンの思いがもし編曲によって削られてしまったとしたら非常に惜しいので。

(注)誤解を避けるために書くが、思い描いた姿というのは決して原典回帰や当時の演奏スタイルを再現することを指しているのではない。初演当時の音を再現することが目的になってしまった音楽ほどつまらないものはない。いくら時代考証を重ねて当時の演奏スタイルを真似てみたところで所詮真似に過ぎない。演奏家が何を表現したいのかということが聞き手にきちんと伝わってこなければ、意味がないと思うから。

第1番&第3番のセットがいずれ発売されると思う。発売されたら、多分買うだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月17日 (土)

パーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェン

■ベートーヴェン 交響曲第3番/第8番
ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
(SACDとCDのハイブリッド収録、BMGジャパン(RCA))

最近主流になりつつある小編成でヴィブラートを控えた演奏。第3番と第8番が収録されており、リピートを行っているにも関わらず収録時間は70分を切っている。どの楽章も非常に速いテンポを採用しており、とてもきびきびした演奏になっている。

第3番の出だしを初めて聞いたときは「軽いな」と思った。しかし、聞き進むにつれて徐々に熱くなっていき、展開部からコーダにいたる部分の盛り上がりは実に見事。最初はおとなしかったバロック・ティンパニも徐々に存在感を表し実に効果的に使われていると感じる。コーダで高らかに金管が主題を演奏する部分があって、この部分を途中から金管が脱落させ木管楽器を浮き上がらせている(最近の演奏はみんなこんな感じになっている・・・ベーレンライター版の譜面が実際どうなっているのか一度見てみたいのだが・・・)が、ここの処理は見事に決まっており、弱弱しさがない。第2楽章もかなりテンポは速いがクライマックスへ向かっての盛り上がりの作り方はすばらしい。第4楽章で弦楽四重奏のように演奏される部分があってちょっとびっくり。

第8番は第3番以上にスピード感がある。第1楽章出だしからティンパニが力強く叩かれとても若々しい生命感溢れる演奏になっている。

ドイツ・カンマーフィルは優秀な奏者が揃っていると感じる。実に俊敏に反応するし、演奏精度を保つギリギリのところで演奏しているにも関わらず、危なさとかが全くない。ダニエル・ハーディングが指揮したブラームスの交響曲でもすばらしい演奏を展開していたが、それに勝るとも劣らない演奏。

全集化されると予定らしいので、ぜひ完結させて欲しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月14日 (水)

N響定期

先週の金曜に久々に演奏会に行ってきた。
NHK交響楽団の定期演奏会。場所はNHKホール。

演目はシューマンの交響曲第1番と第4番。クララ・シューマンのピアノ協奏曲。
指揮はN響ではすっかりおなじみになった準・メルクルさん。

なかなかいい演奏会だったと思う。第4番で初稿版が取り上げられたのにはびっくりさせられたが、当時の演奏を再現するだけに終始することが無かったので、楽しく聞くことが出来たと思う。第1番もよかった。特に弦楽セクションは充実していたように思う。ピアノ協奏曲は、演奏者には悪いのだけど眠くて仕方がなかった。悪い演奏ではなかったのだと思うが、作品に共感できなかったので・・・。どうせなら有名な方のピアノ協奏曲が聞きたかった。

準・メルクルさんはとても人気があるみたい。終演後の盛り上がりも他の客演指揮者とはちょっと違う。実は私がいま最も注目している指揮者のひとり。音楽の解釈や人柄にとても好感が持てる。これからが楽しみだ。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2005年8月 4日 (木)

ハーディングのブラームス

harding_brahms.jpg

■ブラームス:交響曲第3番、第4番 
ダニエル・ハーディング指揮ドイツ・カンマー・フィル(Virgin Classics)

少し前に話題になったCD。ブラームスのシンフォニーといったらベートーヴェン同様名演と呼ばれる演奏が数え切れないほどあるので、その中に割って入るのは大変なことだと思う。

CDのジャケットをご覧になっていただければ分かると思うのだけど、棒を振っているダニエル・ハーディングはまだとっても若い。調べてみたらなんと76年生まれ(!!)。私より4つも年下・・・。このCDが録音されたのが2000年から2001年にかけてなので一体何歳の時の録音なんだ??。ピアノとかヴァイオリンのソロであればもっと若い年齢でメジャーデビューしたって不思議ではない。

最近流行のピリオド・アプローチによるもの(楽器は現代のもの)で、オケも総勢50名ちょっとという非常にコンパクトな編成。弦楽器の音に厚みが感じられないのは不満だけど、管楽器とのバランスがうまく行っているので違和感はあまり感じない。ブラームスの交響曲ではこのタイプの演奏は比較的珍しいので、往年の名演に慣れた耳には非常に新鮮に聞こえる。内声の処理がとてもよくわかるので普段かき消されがちな音が活きて来るところがいい。

私は個人的には第4番の演奏が大変気に入った。作品そのものがすばらしいのかもしれないけれど、第2楽章の演奏が大変素晴らしくて、思わず涙が止まらなくなってしまった。不思議だ。非常にテンポが速く、素っ気無いとさえ思われても仕方がない、そんな演奏なのにそれでも心に突き刺さるものがある。これはやっぱり作品そのものの力なのだろうか?。

ブラームスの音楽は重苦しくて嫌だと思っている人なんかにはいいかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)